「それはいけんじゃろー。みんなで分けないと。」
「尾道空き家再生プロジェクト」の代表理事である豊田さんの声が響いたのは、11月に2年生の学生たちと尾道を再訪したときのことだった。
研修初日の夜われわれは、懇談会というかたちで、魚介系のメニュー豊富なお店で食事をしながら話を伺っていた。
豊田さんの言葉は、数の限られているメニューを皆でシェアしなければならない場面で、1人の学生が「あ、つい2切れ取ってしまいました」と言ったときのものである。
間髪を入れずキッパリと言い放たれた言葉から感じられたのは、東京近辺で言う「下町らしさ」という感覚だ。